火という営みに新年を願って

暮らすからこそ守られる風景がここにある。
それは実際なんなのか。
お正月を過ぎると、手作りのしめ縄飾りや書き初めの作品など、持ち寄ってとんどを行う。
とんどは燃やすことで様々な意味を持っている。
無病息災や家内安全、五穀豊穣などを祈る。
それは不便なところで生活してきた田舎の住民にとっては大切な精神や想いである。
この火に様々な思いを込める。
さて、茅葺き屋根について説明するとき、現在では20年程度で屋根の葺き替えを行う。
昭和初期ごろまでは50年に一度程度で、人生に一度屋根の葺き替えを行うだけでよかった。
その大きな要因は「囲炉裏」
囲炉裏は寒い時期、基本的に毎日ずっとつけている。そこから立ち上る柔らかな炎と煙は、立ち上り、
屋根の防腐剤となる煤をつける。それもゆっくりじっくり。
そうしてついた煤は、屋根が腐るのを妨げ、防虫防腐効果も持っていた。
しかし現在において囲炉裏を毎日活用する家はない。
囲炉裏を使わなくなると煤が付着せず、湿気や苔などによって腐っていく。
こうした現状を見れば、囲炉裏を使う前提で、個々の自然風土に合わせたオーダーメイドの家づくりが行われていたことに気づく。
そしてその茅葺は人が毎日生活しているからこそ守られる家。それが大前提にある。
火の力、人が暮らすからこそ守られる風景や文化はこうした日常の中に散りばめられている。
風景として美しいこのかやぶきの里もこうした暮らしから生まれる風景である。
茅葺はテーマパークじゃ守れない。私たちの美しいこの風景は今も生きていて、生きているすべての生物と調和している。
そして、茅葺民家が今の暮らしにマッチしていないものであるということも感じながら、それでもこの美しさは諦められない。
こんな茅葺の風景が日本各地のどんなに小さな集落でもあり、暮らしという営みが行われていた。
それぞれがそれぞれの歴史や文化を持つ。
そんな小さくて大きな村の世界に感動せずにはいられない。