春一番の暮らしのしごと「茅しまい」
2025-04-13
冬の間、乾燥した空気と山間特有の寒さの中、今年は50センチほどの積雪があった。
30年以上前はもっと雪が多く、冬に雨が降ることはなかったという。
今でも集落内では屋根からの落雪対策の「雪囲い」を設置するところも見られるが、概ね晴れ間が続くと雪は無くなってしまう。
乾燥した冷たい空気の中、川沿いには秋に刈り取った茅が塚となって乾燥の時を待っている。そんな空気にさらされて芯から水分が抜かれた茅は腐りにくく軽く強い。冷たい川の風は時としてこの塚を押し倒してしまうため、定期的に見回り、気がついた場合には立て直し、管理していく。そうして大切に見ていく中で今乾燥の時を終えた。
作業のほとんどは住民で行われる。乾燥しきった茅の塚を倒して一つ一つ分解してまた運びやすいように束ねていく。
藁縄を使って、5束ほどを1束に。車に乗せて専用の倉庫へと運ぶ。
その昔は山の尾根沿いに茅場があり、山から茅を持って下ろしては管理する場所や各家屋の屋根裏部分に収納し、葺き替えの時を待っていたのではないだろうか。
自分たちで管理し、刈り取って収納する。今は専門の職人さんがいるものの、自分たちの生活を自分たちの手で作り上げてきた暮らしが今もなお匂う春の茅場。
春一番の暮らしのしごとがここにあります。