冬を生きる。楽しむ。
2025-06-02
冬を楽しむ。
京都府南丹市美山町北集落は山と川に挟まれた集落で、12月から2月にかけて雪が積もる。
昔は1メートルとも言われた積雪も今となっては60センチほど。
凍てつくような寒さと冬の真っ白に染まるかやぶきの里は美しい。
昔、冬は林業や農業のオフシーズンとなり、忙しかった春から夏、秋を経て囲炉裏を囲った団欒があった。
楽しい冬の到来である。
囲炉裏を家族で囲み、女性は麻束や繕いものなどを持ち寄って気の合う友達や近所同士で集まって話に花を咲かせました。
男性は隠居小屋を中心に集まり、わら細工をしながら日常についての話や一部では浄瑠璃などの文化的な活動の練習も行った。
冬は作業で忙しくない分、家族や友人などと時間を共にし、交流だけでなく民俗の継承の場としても大切な時間となった。
寒く厳しい冬にも余すことなく暮らしを繋いでいくための濃厚な時間が流れていたことは間違いない。
「文化」は日本の至る所に残り、特徴的な文化は守られ、伝えられている。
しかし、そんな中で暮らしの中の「民俗」は失われつつある。
形として格調高きものではなく暮らしの中で当たり前のように繋がれてきたもの。
暮らしが変われば自然に失われていく知識と技能。
私たちはかやぶきと共にその民俗を保存し、真に豊かな暮らしを問い続けたい。
冬の囲炉裏端は山の村の安らぎと楽しみの民俗であり、暮らす民俗の核となる場所、時間だった。